パリのならず者たち-観光地で横行するスリ・詐欺・ひったくりの手口一覧とその対処法

2016年12月13日      2017年03月03日
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観光大国フランスには年間8000万人を超える観光客が世界中からやってくる。中でも首都パリは日本からも毎年何万人という人が訪れる一大観光都市ですが、やはりこうした観光地にはそこにやって来る外国人観光客を狙った悪質な集団が集まっています。

この記事ではパリ市内で暮らす僕がこれまで見てきた、聞いてきた、パリ市内で横行する詐欺・スリの手口を紹介することで、これからパリに観光で訪れる人に何が危険で、何に警戒すべきかを伝えていきます。この記事を読んだあなたの周りでパリに向かう人がいたらこの内容をシェアしてあげてください。

観光地で起こるスリの手口

パリ市内、特に中心部の観光地でよく見かけるスリの手口は僕が知る限り次の4つ6。1つずつその手口と対処法を伝えていきます。

  1. 嘆願書・署名集団
  2. 嘆願書・署名集団亜種
  3. 改札スリ犯
  4. 地下鉄車内未成年集団
  5. 混雑場所男性スリ集団(2017年1月1日に追加)
  6. 地下鉄出口スリ集団(2017年3月3日に追加)

嘆願書・署名集団

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ルーヴル美術館とチュイルリー公園は特にスリ集団が多いスポット
嘆願書・署名集団
出没地 ノートルダム大聖堂、ポン・ヌフ、ルーヴル美術館、チュイルリー公園、シャンゼリゼ通り
出没率 ★★★★★
対処法  無視

合言葉はDo you speak English?「あなたは英語が話せますか」

この言葉をかけられても絶対に答えてはいけません。無視してください。パリ市内の観光地のいたるところに出没する女性のスリ集団は引っかかる観光客が非常に多い、要注意のスリ集団です。

特に多く出没するのがノートルダム大聖堂、ポン・ヌフ、ルーヴル美術館からシャンゼリゼ通りに向かう途中のルートで、手に嘆願書とペンを持ちながら観光客に歩み寄ってきます。

彼女たちはスリと詐欺のハイブリッド型で、その手口は2つあり、1つは偽物の嘆願書を観光客に書かせて集中している間に財布やスマホを盗む手口、2つ目は偽の嘆願書にサインをさせた後に、「サインを書いたのだから金を出せ」と金銭をせびる詐欺行為です。

1つ目の手口の間、観光客はアンケートの記入に集中しているのでその間に自分の大切なものが盗られているのに気づきません。

2つ目の手口は日本でも渋谷駅や新宿駅のようなターミナル駅でここ数年問題になっている募金詐欺と同じ手口です。

日本人の中には、

  • 声をかけられると止まってしまう人
  • 頼まれると断れない人

が多いので、こうしたスリ集団からするといいカモになってしまいます。特に海外という不慣れな場所だとこの種の募金行為が一般的なものだと勘違いしたり¹、英語・フランス語が喋れないから笑顔でごまかしてとりあえずその場を凌ぐために数ユーロのお金を渡してしまったりと、被害にあうことが特に多いです。

※¹:募金活動をする者が自分から歩み寄って金銭を求めることはありません。

彼女たちの外見は皆似ているので、一度見かけるとそれ以降は避けられるのですが、初めてパリを訪れる際は声をかけられても絶対に答えてはいけません。通りかかる観光客に手当たり次第声をかけているので警戒しましょう。ちなみにこの嘆願書・署名集団には亜種があってこちらも気をつけなくてはなりません。

嘆願書・署名集団亜種

嘆願書・署名集団亜種
出没地 観光地周辺のカフェ・レストランのテラス席
出没率 ★★☆☆☆
対処法  貴重品をテーブル上に置かない

観光地付近のレストランやカフェのテラス席は要注意。嘆願書(アンケート)集団はここにもやってきます。この場合のスリ手法は結構賢いなと思うやり方で、手順としては次のような感じ。

  1. アンケート用紙をテーブルの上に置く。
  2. 観光客が記入を断る。
  3. アンケート用紙を回収する時にテーブルの上に乗っているスマホ・財布を一緒に盗む。

スリ集団はテラス席を観察してテーブルの上にスマホ・財布が乗っている観光客をターゲットに定めます。狙いが定まったらアンケート用紙をテーブルの上にあるスマホ・財布の上に被せるように置き、断られるのをあえて狙って、断られたらその用紙を回収しながら貴重品もろとも盗んでいくのです。

わざと断られるために勢い良くやって来るので彼女たちの手口は結構賢いなと思ってしまいます。テラス席でパリの雰囲気に浸りたいのは分からなくもないですが、観光地付近のカフェでは注意しましょう。

改札スリ犯

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改札スリ犯
出没地 地下鉄の改札(特にパリ北駅、パリ東駅、シャトレ・レアール駅、サン・ラザール駅)
出没率 ★★★★☆
対処法  背後に目をやる、改札付近で怪しい人を見つけたら離れる

地下鉄の駅構内も注意が必要。一番やられやすいのが改札を通る時で、スリ犯は観光客が改札を通るすぐ背後にくっついて、観光客が改札のレバー・扉を押す間にポケットやバッグから貴重品を盗んでいきます。

この改札スリ犯は若い男性が多いので下手に抵抗すると力で負けます。さすがにコロンビアで起きたような事件はパリでは起こりづらい²ですが、そもそも盗まれる前に盗まれないように対策しましょう。

※²:フランスでは狩猟以外の目的で銃を所持することが法律上禁じられています。

対策の方法は背後・周囲を気にすること。このスリ犯は改札前でよいターゲットが来るのを吟味しているのでいかにも怪しい人が改札前にいたら、その人と離れた場所の改札を利用した方がよいです。

特にパリ北駅、パリ東駅、シャトレ・レアール駅、サン・ラザール駅のような複数路線が乗り入れる大きな駅は要注意。こうした理由で大きな荷物、例えばスーツケースを一人でごろごろ転がしながら地下鉄に乗るのはおすすめしません。

【画像付き】パリ在住者が教える電車でシャルルドゴール空港からパリへ向かう時の乗車券の買い方、乗り方、注意すること

地下鉄車内未成年集団

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地下鉄車内未成年集団
出没地 地下鉄車内
出没率 ★★★★☆
対処法 満員電車を避ける

この手口は日本でも知られている、いわゆる一般的なスリと同じ。パリの地下鉄も朝と夕方のラッシュ時には地下鉄東西線やJR埼京線ほどではないにしても混み合います。その中にスリ集団は潜んでいて、10代の子供が中心でスリを働いています。

次の動画はフランスで人気の20hというニュース番組で「パリで増え続けるスリ」特集を放送した動画の一部です。2分くらいの短い動画なので見てみてください。

この動画で紹介されているのは、東欧出身の未成年の子供達がスリを行うところを警察が検挙する場面。検挙してもフランスの法制度だと未成年の犯罪はすぐに釈放されてしまうのでこうしたスリは後を絶たないのです。

対処法としてはまず、満員電車に乗らないことです。朝8〜9時台と夕方5〜6時台の電車は混み合うのでこの時間帯はできれば外した方がよいでしょう。

混雑場所男性スリ集団(2017年1月1日に追加)

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混雑場所男性スリ集団
出没地 観光地付近の混雑場所
出没率 ★★★☆☆
対処法 混雑を避ける

とうとう被害者となってしまいました。詳しくは次の記事で書いていますが、このスリ集団はこれまでのスリ犯よりも避けるのが難しいので要注意です。

彼らはターゲットの周囲を囲み連携プレーであらゆるものを盗んでいきます。僕が盗まれたのは財布、友人(男)はリュックに入っていたモバイルバッテリー、ズボン、下着類をかっさらわれました。下着まで持って行かれます。(笑)

囲まれた時点でもうほぼ終了なので、観光地の人混みの中に入るのは危険です。相手も男性が複数人なのでこちらも下手に反撃はできません。

地下鉄出口スリ集団

地下鉄出口スリ集団
出没地 地下鉄駅出口
出没率 ★★☆☆☆
対処法 治安の悪い地区に立ち入らない

パリ10区のストラスブール通りを自転車で移動中に出会って戦々恐々としたスリ手段です。上のストリートビューを見るとわかるように、地下鉄の地上出口の部分に黒人の若者がたむろしています。

このスリはエスカレーターで地上に上がって来る観光客をあらかじめエスカレーター降り口で待ち構えて、上がってきたところに集団でぶつかって財布や携帯などの貴重品を盗むやり方です。このやり方の怖いところはエスカレーターが上り専用で、一度乗ってしまうと地上で待ち構えている彼らのところに向かう他、逃げる術がない点で、恐ろしいやり方です。

現時点でこのやり方を見たのは地下鉄4番線のChâteau d’eau駅のみですが、ここでのみ行われている手法ではなく、パリ北部・東部を移動する時は特に気をつけてください。

観光地で起こる詐欺の手口

スリの手口に続いて、次は詐欺の手口を見ていきます。ここでいう詐欺は広義の「詐欺」で、実際の値段よりも高く物を売りつけることや、金額をカサ増ししてくる事例をいくつか紹介します。

  1. 観光地の物売り
  2. 空港行きの電車内での寄付
  3. タクシー運転手

観光地の物売り

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出没地は最初に紹介した嘆願書集団とほぼ同じ。ルーヴル美術館とエッフェル塔周辺に特に多いパリのお土産グッズを持った物売りです。彼らのほとんどは移民出身で多くの場合、金属製のエッフェル塔キーホルダーを売り歩いているので、ジャラジャラと金属音が聞こえたらその場を去りましょう。

彼らは購入を強要してくるわけではないのですが、値段付けは彼らの独断で決まっているので、こちらが観光客風の格好をしていて、お金を持っていそうで、フランスの事情に無知そうだなと思われたら値段をふっかけてきます

個人的にはエッフェル塔のキーホルダーなんてこれっぽっちも欲しいと思わないのですが、歩いていると結構声をかけられて立ち止まっている観光客を目にするので、この手法も当分なくならないはずです。買う人がどこかにいるうちは物売りもいなくなりません。

空港とパリ市内を結ぶ電車内

シャルルドゴール空港からパリ市内へと向かう電車内で実際に遭遇した詐欺師。

「私は経済的に困窮しています。私にお金をください」と英語で書かれた紙を各座席に置き、それを観光客が読んだであろうタイミングでその紙を回収しながら募金をせがんできます。

僕が出会った時は空港からパリ市内へ向かう電車だったので、どの乗客も彼に騙されていなかったのですが、パリ市内からシャルルドゴール空港に向かう途中、つまり旅の帰路でやられると結構引っかかる人も多いのではないかと思います。

例えば旅行中に余った5ユーロ紙幣や小銭だったり、日本に持って帰るのも重いし経済的に困っているならかわいそうだし寄付してあげよう。そんな人をターゲットにしているのが彼らのやり方です。善意につけ込まれないようにしてください。

「彼は本当に困窮しているかわいそうな人なのでは?」と思う人もいるかもしれませんが違います。車内で彼に会った時、彼が紙を回収しながらこちらにお金をしつこくせがんできたのに対して断ったところ、こちらを睨みながら舌打ちをしてきたので完全に黒です。アジアから来た観光客だろうからチャンスだと思ったのでしょう。

パリ市内のタクシー

観光客を乗せたタクシーが料金をかさ増しする方法は2種類存在します。1つ目は実際にメーターに書かれている金額に加えて、何らかの理由をつけてプラス10ユーロや20ユーロを要求する方法。日本人観光客の多くはタクシードライバーが何を言っているか分からないので、渋々払ってしまいます。

もう一つの手法は僕がパリに来た当日にひっかかった手法で、わざと遠回りのルートで目的地に向かうことでメーターを稼ぐやり方です。来仏してすぐの僕はパリ市内の位置関係を全然知らなかったのでうまい具合にタクシー運転手に遠回りで目的地まで連れて行かれました。当時はやけにこの運転手話しかけてくるなと思っていたのですが、今思えば、あれは長距離を走っていると悟らせないようにするためのテクニックだったのです。

実際その日はセーヌ川の左岸にある7区から13区まで向かうはずだったのですが、なぜか一度セーヌ川を渡ってパリ中心部を時計回りにぐるっと一周するルートを走っていたので相場より時間もお金もかかりました。

もちろん中にはしっかりと仕事をするタクシー運転手(本当はそれが普通なのですが)もいますが、良い運転手に当たる可能性が100パーセントというわけではないので、市内での車移動には料金があらかじめ決まっていて、ドライバーを選べるUber(ウーバー)の利用をおすすめします。

Uber

Uber
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ちなみにタクシー運転手は現在Uberの台頭で仕事が減っているので、それに反対するためにデモ・ストライキをしていますが、どちらも利用したことのある僕からするとサービスは圧倒的にUberの方がいいです。値段も明瞭会計です。Uber頑張れ。

なぜ観光地のスリ・詐欺はなくならない?

これだけ堂々とスリ・詐欺を働いている集団がパリ市内にはうじゃうじゃいるのに、どうしてななくならないのか。一体警察は何をしているのか。そう思う人も多いはずで、僕もそう疑問に思っていました。

実際のところ、パリ中心部で警察官はたしかにパトロールをしているのですが、スリ集団や詐欺師を検挙しても1日2日後にはすぐ釈放されてしまうので、ほとんど意味がないそうです。

例えばルーヴル美術館の前の広場では警察官が目を光らせているエリアと、アンケート集団&物売り集団がうろつくエリアの2つがあって、お互いに縄張り争いをしているような状態なのですが、警察官が彼らのもとに近づこうと動くと仲間のうちの誰かが「警察が来たぞ」と周囲に伝えるために笛を吹き、一目散に逃げていきます。そして10分もするとまた彼らはそこに戻って来る。この繰り返しです。

こうした状況なので今からすぐにこのスリ・詐欺がパリからなくなることはありません。ならば自分の身は自分で守るしかない。この記事のまとめとして全体的な対処法と心構えをお伝えします。

全体的な対処法と心構え

この記事を読むとだいぶパリが怖い街で常に狙われているんじゃないかと思わせてしまうかもしれません。ただ、実際日本人観光客は狙われています。この点は事実です。

日本人観光客は現在までパリのならず者たちのいいカモにされているので、この被害をどうにか止めたい。それがこの記事の目的なので、最後に彼らから身を守るためのいくつかの心構えを箇条書きにしました。

  • 外でガイドブックは見ない
  • 声をかけられても無視
  • 歩く時は早歩き

以上が僕の知る限りの「パリ市内のならず者たち」の手口とその対策です。他にも自分・知り合いが体験した手口を知っている方がいたら、Twitterまたははてなブックマークでコメントをもらえると嬉しいです。

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