港区高輪の坂上と坂下の街から見る東京の地域間格差と地域内格差

2015年12月06日      2016年10月19日
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港区高輪3丁目の坂下に広がる木造住宅密集地と高輪4丁目や、御殿山と呼ばれ古くから富裕層が住居を構えてきた北品川4丁目や北品川6丁目の坂上に広がるお屋敷町を実際に坂を上り下りしながら歩いてきました。港区は高所得者の集まる町とみなされがちですが実際に足を運んでみると一概にそうとは言えないことがわかります。

高輪3丁目の窪地に残る木造住宅密集地

高輪2丁目から高輪3丁目に入るとすぐに階段状の坂が現れます。坂は古くから身分を隔てるものとして存在してきましたが、この階段状の坂の下にも港区という華やかな言葉の裏に隠れた暗い街が広がっています。まずは階段を下りてみます。階段を降りながら右手に目をやると高野山東京別院というお寺が見えます。写真では確認できないのですが地図で見るとこのお寺の向こうに高輪教会というカトリックの教会が位置しているようです。坂上の街の特徴ともいえる宗教施設の多さはここでも確認できます。

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階段状の坂を下りると「港区=お金持ちが集まる高級住宅街」という考えが覆される景色が目の前に現れます。たった一つ小さな坂を下りただけなのに、わずかな高低差で街は急激にその姿を変えるのです。

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ここには坂上の街から疎外された木造住宅が軒を連ねています。家々の間を細い路地が通っていて、人が一人ぎりぎり通れるような横幅です。

何よりも驚くのは住宅の密集具合、建物の老朽化と水はけの悪さがもたらすよどんだ空気です。ここではもちろん港区の坂上の街で見られる高級住宅街や外国人の姿は影も形もありません。まさに他の世界から孤立してしまったような街が港区の坂下に広がっていました。

住所表記は港区高輪3丁目で、この地域について詳しく知らない人が見たらステータスの高いアドレスに住んでいるのだろうと想像するかも知れませんが、実際に足を運んでみると想像とは全く異なる世界を確認することができます。

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八ツ山と御殿山、2つの山に

品川駅の西側にあたる高輪4丁目やその南側にある北品川4丁目の付近はそれぞれ、八ツ山(やつやま)御殿山(ごてんやま)と呼ばれ江戸時代には有力者の敷地が、近代から現在に至っては高所得者層が集まる地域となっています。

先述した高輪3丁目の坂下の街と対照的にこれらのエリアでは道幅が広く取られた、一軒一軒の区画の大きい閑静な住宅街が形成されています。坂上の街の特徴ともいえるキリスト教の教会や各国の大使館、さらにここでは小規模の美術館や資料館の多さから、ここがかつてから社会階級が上位にある人の居住区だということがわかります。

歩いてみても大きな家々が目立ちますし、一部の通りは海外の高級住宅街を思わせるような見た目をしていました。現在では地名が高輪4丁目や北品川6丁目といったように、その名前から土地の様子を予想することが難しくなってしまいましたが、この辺りは八ツ山と御殿山と呼ばれており、文字通り小高い山の形をしています。

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港区の坂上と坂下、光と影

港区の高輪3丁目から4丁目、さらに品川区の北品川4丁目など、この一帯は足を運んでみてかなり衝撃的な場所だったので、東京における格差社会の断片を確認したい人は訪れてみると肌で格差を感じられると思います。

しばしば東京における格差は港区や文京区のような山の手の街と足立区や葛飾区のような下町との間の格差が焦点とされ、地域間格差の拡大が問題視されがちですが、東京には地域内格差が存在することも忘れてはいけません。

港区のような一般的には高所得で知られている場所であっても、今回訪れた場所のような部分的に他の地域から孤立した場所が存在するのです。そしてここで重要なのが、その孤立地域にアクセスするには坂道を介するということです。東京では、お金持ちは坂上の街に、貧困層は坂下の街に集住するという図式が成立しており、坂道が表す高低差によって人々が階層ごとに棲み分けをしていると言えるでしょう。

地位や所得が高い人はほとんどの場合、土地の標高が高い坂上の街に大きな家を構える傾向があり、反対に地位も所得も平均以下の人々は土地の標高も価値も低い坂下の窪地に集住する傾向があるのです。

今回訪れた高輪エリアは文字通り東京の光と影を表している場所です。坂上の街は小高い山の上で一軒一軒の敷地面積が大きいため、日の当たる恵まれた環境で人々が生活をしています。その一方で坂下の街、つまり窪地に位置する町は場所柄、光のあまり届かない影の場所に位置しています。両者の生活は昔から対照的であり交わることのない別世界でした。

東京、特に山の手エリアではこうした完全に状況の異なる2つの街が坂を隔てて並置されている、隣接しているということが興味深い点であって、格差社会が目で見て分かる特殊な場所なのです。

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