パリのおすすめ散歩道として、パリ東部の高架線跡にできた遊歩道La Coulée verte(ラ・クレ・ベルト)を紹介します。この遊歩道、観光ガイドにはあまり載っておらず、日本人観光客が訪れることは少ないのですが、まっすぐ伸びた歩行者専用の遊歩道となっていることもあり、お昼過ぎになると地元のパリジャン・パリジェンヌで賑わうお散歩ルートになっています。

特に普通の散歩道と違いラ・クレ・ベルトはかつての高架線の上、地上およそ10メートル地点からパリの街並みを眺めつつ散歩ができるので散歩道を通り抜ける風も気持ちよく、車の往来を気にする必要もなく、いつもと違った面白い視点でパリの街を眺められるのでおすすめなのです。
今日はそのラ・クレ・ベルトがどこにあるか、そこまでの行き方から、その通り道の様子やトイレの有無、注意する点などについて実際にパリ市内で暮らす僕の視点から書いていきます。
このページの内容
ラ・クレ・ベルトの場所
もともと高架線として利用されていたラ・クレ・ベルトの入り口はオペラ座、飲屋街、マルシェで知られるパリ東部のバスティーユ広場から歩いて5分ほどの距離にあります。現在パリ市内には14本の地下鉄路線がありますが、かつてはパリ市内を周遊する路線や、荷物を運搬するための路線が通っていたのです。
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ラ・クレ・ベルトも以前はこの荷物運搬のための役割を担っていた路線で、廃線となった1900年代に再生プロジェクトとして遊歩道にする計画が立ち上がり、現在の散歩道ができあがったのです。
ラ・クレ・ベルトまでの行き方
ラ・クレ・ベルトは入り口の他に途中でいくつかの出口があるのですが、スタート地点はバスティーユ広場から南東方向に5分ほど歩いて行った場所にあります。
バスティーユ広場に位置するバスティーユ駅には地下鉄の1番線、5番線、8番線が通っているので、まずはこの駅を目指すのがよいでしょう。ちなみにバスティーユ駅は朝・夕方の時間帯によっては駅構内が通勤・乗り換えで混雑するので、慣れていない人は朝の8〜9時、夕方の5〜6時はできるだけ避けて方がいいかもしれません。
中には混雑に乗じてスリを働くスリ集団も紛れているので周りに警戒しながら進みましょう。
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3つのエリア
では、実際にラ・クレ・ベルトを歩いてみましょう。この遊歩道は主に
- 高架線エリア
- 団地エリア
- 林エリア
の3つのゾーンに分かれていて、バスティーユ周辺から東方向に向かうに連れて、団地エリアと林エリアを通っていきます。それぞれのエリアの見どころといくつかの注意点を実際に撮ってきた写真とともに紹介するので見ていきましょう。
高架線エリア
このエリアがラ・クレ・ベルトの入り口かつ、もっとも散歩で楽しいエリアです。地上を歩くのとは違い、地上10メートルを歩くのでそれだけで開放的+気持ちがいいのですが、さらにこの散歩道は実際にパリの住人が暮らすアパルトマンのすぐ脇を通るので、アパルトマンを裏側から覗くことができ、パリジャンの生活を垣間見ることができるんです。

なかにはおしゃれなアパルトマンや豪華なものもあり、見晴らしの良いベランダでくつろいでいるおじいちゃん・おばあちゃんを見ることもあります。
団地エリア
高架線エリアを歩いて行くと次に現れるのは団地エリア。バスティーユ駅から東の郊外に向かうに連れて徐々に街並みが変わって来て、小さめのアパルトマンから高層団地が増えていきます。
この団地エリアのおすすめポイントはエリア入り口にある公園で、木製の橋の下に広がる芝生広場は冬の時期を除いて立ち入ることができるので、ここでお昼寝したりピクニックしたりできます。
さらにこの公園には炭酸水を無料で飲める・汲めるスポットがあるので、空のペットボトルを持って行ってここで散歩途中に持ち帰ることもできちゃいます。パリ市は水質向上に力を入れていて、ここで飲める水はかなり美味しい&しっかり炭酸なのでこの機会にぜひともお試しを。
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林エリア
団地の先にあるトンネルを抜けると3つ目のゾーン、林エリアにつきます。ここは地上よりも低い溝の部分に生える木々の間を通り抜けて行くゾーンとなっていて、パリ市内の一番東端まで続いています。
太陽があまり届かない場所なので夏場でも少し涼しかったり、健康器具が置いてあるのでトレーニングがてらジョギングする人が多く、よくランナーを目にします。このエリアを抜けるとパリ市内を抜け、ヴァンセンヌの森に近づくのでそのまま徒歩で歩いていくこともできますが、注意する点があるので次の項で詳しくお伝えします。
ラ・クレ・ベルトで気をつける点
観光にはおすすめですが、名の知れた観光地ではないのでいくつか注意しておくべき点があります。
端に近づくほど治安は悪くなる
3つのエリアから構成されているラ・クレ・ベルトですが、観光として初めて向かうのであれば、実際に散歩するのは高架線エリアだけの方がいいかもしれません。
というのも団地エリアやその先の林エリアには不良集団が溜まり場として集まっていることもあり、実際僕が訪れた時もトンネルを抜けた林エリアでは道の途中にある小屋の上で少年たちが音楽をガンガンにかけながら集まっていました。
彼らがこちらに何か攻撃をしかけてくることはあまり考えられないですが、それでももしあなたが現地を知らなそうな風貌で歩いていると声をかけられる可能性も否定できないので治安の面を考慮すると、散歩するのはこういった不良集団が出没しない高架線エリアだけにとどめておくのがよいでしょう。
ちなみにこの散歩道の近くにはかつてのワイン倉庫街を再開発したおしゃれな通り道、ベルシーヴィレッジがあるので、そこもおすすめです。
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ひったくり被害に遭いかけた
詳しくは次の記事で書いていますが、この「端に近づくほど治安が悪くなる」の一例として、実際僕が2016年の11月にこの遊歩道の一番先、つまりパリ市内から外へ出る高架下でバイクに乗った少年に後をつけられ、ひったくりに遭いかけました。
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時間・お金
ラ・クレ・ベルトは市民に開放されている遊歩道ですがパリ市が管轄しているため、他の公園同様、閉園時間があります。季節や曜日によって開園・閉園時間は異なるので下の表を参考にしてください。
日付 | 開園時間 | 閉園時間 |
10月30日〜2月28日 | 平日:8:00、土日祝日:9:00 | 17:00 |
3月1日〜3月25日 | 平日:8:00、土日祝日:9:00 | 18:00 |
3月26日〜4月30日 | 平日:8:00、土日祝日:9:00 | 19:30 |
5月1日〜8月31日 | 平日:8:00、土日祝日:9:00 | 20:30 |
9月1日〜9月30日 | 平日:8:00、土日祝日:9:00 | 19:30 |
入場料はかからないので自由に入ったり出たりできます。
トイレ
僕が確認した限り、ラ・クレ・ベルトには少なくとも途中2箇所に無料トイレが設置されています。1つ目は高架線エリア終盤、2つ目は林エリアの中盤で2つのトイレの間は距離があるので高架線エリア終盤のトイレを利用しておくと安心です。
靴
遊歩道といっても実際に歩くとなると意外と体力を使うので、このラ・クレ・ベルトに向かう日はヒールのような長距離を歩くのに向いていない靴を履いて行くのはやめましょう。
ベンチのように休憩する場所も途中たくさんありますが、荷物も少なめの方がいいです。どこかに買い物をした後に向かうよりも、一度荷物をホテルに置いたり、買い物をする前に通るのが良いでしょう。
高架線は途中で降りられる?
4km以上続く長い散歩道ですが、一度歩き始めたら最後まで進まなければいけないということはなく、途中数カ所で自由に降りることができます。おすすめは2つ目のエリア、団地エリアに入る手前の公園で炭酸水をゲットしたら、遊歩道を降りて近くのベルシーヴィレッジに向かうプランです。
まとめ
以上が僕のおすすめするパリの遊歩道ラ・クレ・ベルトの紹介でした。この道の他にもパリ市内にはガイドブックに載っていない地元民おすすめの散歩道がいくつかあるので、今後も紹介していきます。
